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作品について 4つの断片

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           “ Realta ” 146×140cm  oil on canvas / sep 2007


 1.

幼い頃の、家にあった絨毯の模様、台所に敷かれたタイル模様のマット、
チェックのカーテン越しの甘い陽射し。街中に敷き詰められたブロックのパターン。
部屋の壁紙に目を凝らしては、小さな凹凸が無数にあり、自分がいるのはこの凸の
1つで、まわりに茫漠と広がる得体の知れない「世界」が確かにある と小さな胸を
ときめかしていました。

 今でも規則的なパターンに目がいきます。
「自然」から切り離され、自分達でしつらえたパターンに囲まれて 4畳半的植木鉢に
栽培されている私達の身体。
 心の綻びは見せまいとその規則性に自分を埋没させる事。
そうやって多くの人達は日々をやり過ごしているように私にはみえます。
それは裏を返せば、パターンのすぐ側で爆発してしまいかねないものが蠢いている、
という事です。
 そういった身体の陥穽に目を逸らさず捉え、紙やカンヴァスに定着させ、
私がみている世界観(ヴィジョン)を再構築して絵を制作しています。 

16:40-19:50 9.nov 2007


2.

日々、代謝し変化してゆく肉体。
石や鉄、骨や放射線量も、刻々と変化してゆき、
永いスパンでみれば、いま表に顕われている“現実”とは、
すべて仮構のものでしかありません。

感覚的に得た色・形・ストローク、思考の切れ端、気分、
カンヴァス内での暗中模索の中、偶然垣間みれた未知の世界観・・。
様々なものの痕跡=仮構を 一時的に残せる絵画というメディアに
常に驚嘆しながら、制作しています。
(むこう10年 制作などせずにただ驚き続けるだけでもいいんじゃないかと思う程です。)

鑑賞という事態も、制作時のスタジオの作者から離れて、
アカの他人が全く違う時空で感覚や思考を受け取る事ができたり、
距離をとって分析する事のできる、驚嘆すべき所業の1つです。

私にとって制作とは、
時空を超えて未来永劫 パフォーマンスし続ける
私の、そして私ではない分身を、半ば無責任に産み出す
営為にほかなりません。

2007 12/8 15:35-15:48



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3.

藤子不二雄の短編『カンビュセスの籤』、『ヒョンヒョロ』のラスト、
手塚治虫『火の鳥ー未来編』の敵役ロックが爆心地で佇むシーン・・。
今までの登場人物の身体の動きやストーリーの流れが、
全てこのコマの為にあったのか、と思えるシーンに、
身体が凍り付くほど感動します。

ボクにとって制作とは、そのまま時間が凍り付いて、
未来永劫ずっと行為をし続けるようなシーンを
原爆の影のようにカンヴァスに強烈に焼き付ける行為のことです。

そのようにして、物質的現実とは違う、
もう1つの世界を産み出そうとしているのです。

2007 12/8 15:52-16:07


4.

限定されたカンヴァスに「自由に」描こうとすることは、
私にとって不快で矛盾をはらんだ行為です。
常にその外に出たい、カンヴァスを粉々に破壊してやりたい
という欲求が常につきまといます。

その思いは、
限定された自分の肉体や社会のルール、あらゆる制約を超えたい、
自由になりたい、という日常での私自身の強烈な欲求と重なります。

私にとって作品=カンヴァスとは、
私達が普段 知覚することができない“閾(いき)”に剥き出しになった、
自由を求める肉体であり、皮膚であり、思考の軌跡・痕跡なのです。

2007 12/8 16:09-16:22
# by taishi_tomi | 2007-12-12 13:49 | テクスト text

STUD!O

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# by taishi_tomi | 2007-12-06 20:32 | 制作 painting